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第3話  「日本人はモンゴロイドであることの証明」

第2話では、正常咬合の形態は人種により異なるから、我々日本人を含むモンゴロイドにはモンゴロイドなりの正常咬合を旗印にして矯正治療を行うべきであると述べました。このように、歯や顎などに関して人種による違いを究明する学問を歯科人類学といいます。
 
幸いにも私は、1960年から1961年にかけて米国シカゴ大学のダールバーグ教授の下で、この歯科人類学を学ぶ機会を得ました。教授は、アメリカ原住民 (アメリカ・インディアン)の上顎前歯は歯冠の舌側面(前歯の裏側)がシャベル型で、ノミ型している白人とは全く異なったモンゴロイド特有の形態を持って いると報告した方です。ちょうど、アリゾナ地域の原住民の歯の調査が始まった時でしたから、私もアリゾナ・ピマ族やナバホ族の歯の印象採得(歯型をとるこ と)や口腔写真撮影などをして調査資料作成のお手伝いをさせていただきました。

kobore_img04.jpg

写真1
はピマ族の正常咬合です。我々日本人のものと全く同じであることに驚きました。彼らの祖先は、その昔、シベリア に住むモンゴロイドがベーリング海峡を渡ってアラスカに住みつきエスキモーになりました。エスキモーはカナダに移りカナダインディアンになり、更に下って アメリカインディアンになったといわれています。それがまさに歯科人類学からも証明されたわけです。


アメリカ・インディアンは米国から南下してメキシコやガテマラでマヤ文明を、更に南米に移動してインカ帝国を築いたとされていますが、残念ながら歯科人類 学的見地からは彼らが果たしてモンゴロイドに属するか否かは何ら検討されていなかったわけです。そこで私は、文部省から研究費を頂戴して、1982年、ペ ルーの国立サンマルコ大学と共同研究“アンデス原住民の正常咬合を対象とする歯科人類学的研究”を行いました。


kobore_img05.jpg kobore_img06.jpg  


(図・上左) (左)日本人成人女性のプロフィール(側貌骨格の形態)とアンデスおよびユカタン原住民の成人女性のプロフィール、前方に一番大きいのは比較のための北アメリカ白人のプロフィールである。
(右)日本人成人女性と中国5ヶ所の成人女性のプロフィール:ほとんど同じであることが分かる。
(図・上右) (左)日本人成人女性の歯列弓とアンデスおよびユカタン原住民の成人女性の歯列弓、幅が狭く細長いのは比較のための北アメリカ白人の歯列弓である。
(右)日本人成人女性と中国5ヶ所の成人女性の歯列弓:ほとんど同じであることが分かる。

また、1987年には同様の研究目的でメキシコ国立自治大学とユカタン半島住民の歯の調査を致しました。そして更には、我々日本人が本当にモンゴロイドな のか否かを証明するために、1990年に北京医科大学および上海第二医科大学との共同研究として蒙古、満州を含む5ヶ所の調査も行いました。

 得られた資料は全て東京医科歯科大学のコンピュータに納められました。その結果を要約すれば、アンデスに住む原住民もユカタン半島にいる原住民も、我々日 本人と同じ歯、歯列弓、顎を持ち、加えて、それらは我々が調査を行った中国の5ヶ所に住む人々とも全く変わらない、モンゴロイドなのであるという歯科人類 学的に貴重な知見を得たわけです。これを言い換えれば、同じモンゴロイド共通の正常咬合である以上、わが国の歯科矯正学はアジア大陸に住むモンゴロイドの ためばかりでなく、北米、南米の両大陸に住む原住民のためにも役立てなければならないのである。
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